
前回の記事ではいち早く顧客の問題を解決するための「サポート情報」や「キュー」といったDynamics 365の持つ便利な仕組みを説明しました。
Dynamics 365のベースとなる思想は「CRM」なので、CRM機能やSFA実現、営業案件の管理などが製品の主機能として注目されがちですが、”サポート案件の取り扱い” も上手に行うことができます。標準UIは、手元で「問題を解決するためのすべての情報」を把握することができるように設計されています。
案件の内容、顧客の契約状況、解決させるために行った活動の記録、関連あるサポート情報記事、最近の別サポート案件、ソーシャルメディア情報(例えば不具合についてTwitterなどでネガティブな発言やポジティブな発言をしているなど)が一つの画面に集まってきます。
ほかにもDynamics 365の標準機能で「目標(Goal)」という機能があるので、「この契約」の顧客は「最初のリクエストを受け取ってから1時間以内」に初期返信をしなければならないなどを対応品質を保証するために必要な情報を追加することができます。
サポート契約の管理と連動するのも嬉しいところです。問題解決までにかかった時間を契約時間から引いていかなければなりません。ExcelやSharePointのカスタムリストなどで契約管理をしている企業様も多くありますが、Dynamicsで適切に管理できます。契約時間やインシデント数が少なくなれば、営業担当と連携して、追加購入を進めることもできるでしょう。解決までに要した時間も記録され、請求可能時間とは分けて管理できるので、社内の工数原価を知るために利用することも可能です。
なお、契約管理に関しては、2つの機能があります。
権利(Entitlement)と契約(Contract)です。「契約」は従来から存在している契約管理エンティティです。一方「権利」は2017年7月のアップデートでDynamics 365に追加され、新しい「統合ユーザーインターフェース」で主に利用します。このアップデートでマイクロソフトは次のメジャーバージョンリリースで「契約」を廃止し、後継である「権利」を機能として残す旨をすでに発表しているので、これから利用される方はご注意ください。
どちらのエンティティも時間、もしくはインシデント数でサポート契約を定義し、管理することが可能です。
ExcelやSharePointリストでは実現しがたい別の機能もあります。
機械が故障した際の修理などを想像してみてください。一度修理を行ってその場では治ったように見えても、数日使うとまた同様の問題が発生するなどの経験をしたことはありますか? Dynamics 365のサポート案件は、一度案件を「クローズ」しても、必要に応じてすぐ「再オープン」することができます。これまでどのようないきさつで問題が取り扱われたかが記録されており、その内容を引き継いで再オープンできるので、引き続き契約の管理なども行いやすくなります。
サポート案件から「子サポート案件」を派生させることも可能です。契約や提供するサービスの内容によっては、細かく案件を分割しなければならないケースがありますが、そのような連結された案件管理も可能です。案件の記録や契約の管理以外にも、Dynamics 365には「Field Service(フィールドサービス)」アプリケーションが用意されています。主に、フィールドつまり「外に出て」サービスを提供する担当者が便利に利用することができるアプリケーションです。最も適切な担当者を現場に派遣するためのリソース配分や、担当者が移動する際のナビゲーション機能など便利な機能が満載です。
現場で使われることを想定し、モバイル デバイス(タブレットなど)にも対応しています。
機会があればこのフィールドサービスについて本ブログで取り上げたいと思います。
Dynamics 365の顧客サポート機能、顧客に対して高品質なサポート機能を提供するのに十分な機能を持っています。このようなシステムを一から作ったり、Excelなどで管理するのは大変な労力と金額がかかります。すぐに始めることができるDynamics 365,ぜひ利用検討されることをお勧めいたします。
そして、顧客サービスについてもっと知りたい方は、インフォシェアの定期トレーニング「Dynamics 365基礎」で実習を行いながら学習することができますので、ご参加をご検討ください!